立ち食いそばからはじまる

外食先を選ぶ基準はなにか。

普通はうまいか、まずいかの二択だ。

うまければまた食いたい、まずければもう二度と食わない。

あとはせいぜい、栄養があるかどうか、だ。

うまくはないが、栄養不足だから野菜多めのメニューを揃える店に足を運ぼう。

と、そうなる。

食に関する選択肢のほとんどはこうした基準で決められる、が、上記の基準ではかれない食事が存在する。

それが、立ち食いそばだ。

立ち食いそばは、味も重要であるが、それよりもいかに早く食せるか、ということが店選びの大きなポイントとなる。

立ち食いそば店は、注文からメニュー提供にいたるロスタイムをいかにゼロに近づけるかに心血を注ぐ。

むしろそこが蔑ろにされている立ち食いそば店は、立ち食いそば店の矜持を捨てているといってもよい。

いかに、早く、注文を終え、メニューが提供され、食を終え、腹を満たすことができるか。

黙食だけではなく、この「速食」も、新しい日常の一コマになるに違いない。